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デザインの発想
栄木 正敏 

・使う機能から、デザインを見つける。
・見つけた形から用途やデザインを探る。

 デザイン作法には、第一に用途、生産性などを考えて形が生まれる機能的発想と、第二に作られた形やテクスチャーからそこに隠れている用途を見つけるという2つがある。後者の第二は、用途にまったくとらわれないで土、釉薬、石膏、石、木材、布、ゴム、金属、プラスチックなどの素材、造形実験から、出来た造形物から用途を見つける方法である。従来のモダンデザインの考えの基本には、用途からの必然のデザイン、シンプルやアノニマスデザイン(無名性)は美しいとある。しかし、デザインの美しさはそれほど単純とはいえない、もっと多様なものでありたい。

 日常茶飯の陶磁器は他の工業製品と比較して、厳密に機能性を重視するアイテムはそれほど多くはない。ただし、パブリックユースの食器の積み重ねや土瓶、しょうゆ差の注口の裏漏れ、ハンドルの握りやすさ、持ちやすさの使い勝手は大切なものだが。

 著名なデザイナーであり、ウルム造形大学教授であったマックス・ビルの言葉より。「基礎過程には、実用的な目的を持たない自由な美的課題を取り込むこと。良い評価とは、与えられた課題を最も良く解決した作品であること。デザインワークに不可欠な資質も、造形訓練によって高めることができる。」 「機械であろうと、ドアーやポットであろうと、いつも残されている自由な余地において美が問題であり、合目的それ自体は美とは関係が無い。今日ではデザインの要求はいっそう経済主導型になっている。しかし、デザインは産業時代の文化を構築し、その文化にふさわしい構成要素を作り出すことである。」


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