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メラミンウェアについて
栄木 正敏 

 食器の素材は、銅、銀、鉄、ステンレスなどの金属、ガラス、漆、木竹、そして陶磁器では土器に始まり、陶器、磁器と、製造法や機能性と時代の美感とともに進化し多様となった。

 中でも食器としても、プラスチック素材は一番新しく歴史の浅い素材だ。成形のしやすさ、これがプラスチックの名の由来である。プラスチックの素材は様々な種類がある。中でもメラミン樹脂は比較的早くから食器素材として使われてきた。適度に重く、絵付けやどんな色、質感も可能で、漆のように熱伝導率が低く、唇や手に過度の熱が伝わらない。また、そのプラスチックの中でも表面硬度が硬いほうで、傷つきにくく、保温性も優れ、割れにくく、陶磁器に近い性能と質感と美感を持ち、食器の素材として相応しい。

 私は学生のころ、スウェーデンの著名なデザイナーで多彩な才能の持ち主のスティグ・リンドバーグの陶磁器デザインと彼のメラミンウェアデザインに感心したことがある。いつか陶磁器以外にメラミンウェアをデザインしたいと思っていた。 あれから21年後、メラミンウェアをデザインする機会が訪れた。日本のトップメーカーである国際化工株式会社の現・神末尚武社長との出会いによって、それは実現した。

 メラミン食器は陶磁器に一番近い材質感があることから、日本では大方は形状と模様デザインで陶磁器の意匠を模倣して事足りてきた。私は、陶磁器のデザインや技術を長く体験している。そこで、陶磁器では不可能なメラミンの素材の長所や成形技術を活かした形状と、主に家庭用から大量に使用する業務用(パブリック食器)や子供から老人まで、使いやすさを基本とするユニバーサルデザインとして、そして大量生産といえども自分なりのオリジナリティーがあり、ロングライフになり得る製品を狙いとしている。


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