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日本人の食器感
栄木 正敏 

 日本の伝統的な和食器と洋食器との違いの一つには、飯碗、湯飲み、お椀箸など個人持ちの器がある。またサイズの違いで男用、女用の湯飲みや飯碗など性別の器もある。これは日本人の清潔好きや潔癖から来ているのかもしれないが、しかし同じ家族でもそれぞれの好みがあり、器が各人の個性を語ることにもなる。湯飲みには背の高いものは個人持ち、背の低いものはお客用や共有となる。

 世界的にも陶磁器はほとんどが作りやすさ、使いやすさからか円形である。かつてデザイン指導で四度も来日したことがある、フィンランドの世界的なデザイナーで陶磁器、ガラス、プラスチックデザイン分野で著名なカイ・フランクがいる。カイ・フランクは、私の師のひとりである加藤達美先生の師であり、私はカイ・フランクの孫弟子ということになる。カイ・フランクは、1953年に革新的なキルタシリーズ(フィンランドのアラビア社)の角皿をデザインしたが、日本では江戸中期に尾形乾山の四角皿があり、桃山期には古田織部の変形鉢、皿など様々な形状のデザインがすでに作られていることを、来日の折りに知り、驚いたという。

 日本は、歴史的にも世界に類がないほど多様な器が作られてきたのだ。そして、日本は他の先進国に比べて、磁器が早くから庶民の食卓で使われ、一般化したように、器の文化が高く、焼き物愛好民族に違いない。


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